JONAS BENDIKSEN's first book,
"Satellites - Photographs from the Fringes of the former Soviet Union"(2006)
I love working on stories that get left behind in the race for the daily headlines - journalistic orphans. Often, the most worthwhile and convincing images tend to lurk within the hidden, oblique stories that fly just below the radar.
私が愛しているのは、日々のヘッドライン獲得レースで、見向きもされなかった物語に取り組むことです。
ジャーナリズムの孤児ともいうべき物語を。
最も価値があり、説得力のあるイメージは、
レーダーのすぐ下を飛んで発見されない、意外な物語の中に潜んでいることが多いんです。
この言葉は、マグナムHP内、ジョナス・ベンディクセンのプロフィールページに大きく掲げられている。
日本語訳は、拙訳なんであしからず。。
最近、ベン・スティラー『LIFE!』を見ました。
映画は、「LIFE」」写真管理課のベン・スティラーが、
無くしてしまったかもしれない「LIFE」最終号のカバー写真を探し求めて、
住所不定の写真家ショーン・ペンに会いに行くってお話。
ベン・スティラーはもちろんのこと、ショーン・ペンも、
『アパートの鍵貸します』のシャーリー・マクレーンもいい味だしてます。
大作じゃないかもしれないけど、いい映画です。
それに刺激され、僕の持つ数少ない写真集の一つである、
『SATELLITES』を見返したら、いいなぁとしみじみ感じました。
てことで、まずは、ジョナス・ベンディクセンのプロフィールを。
ジョナス・ベンディクセン(Jonas Bendiksen)
1977年 ノルウェー生まれ。オスロ在住。
Magnum Photos Tokyoより引用。
マグナムロンドンオフィスのインターンを経てロシアへ渡り、フォトジャーナリストとして仕事を始める。
その後数年間、ロシアを拠点に活動し、孤立したコミュニティーの人々など、旧ソビエト連邦の人々の生活を取材し、2006年に写真集『Satellites』を出版。
2005年からは都市部に広がるスラムに関するプロジェクトに取り組み、2008年に写真集『The Places We live』を出版。
ジオ、ナショナルジオグラフィックなどを世界の主要雑誌に作品を発表。
2003年ICP(国際写真センター)賞、POYi(Pictures of the Year International)賞など数多くの賞を受賞。
2004年よりマグナムに参加、2006年より準会員。
※2010年からは、マグナムの会長だそうだ。
※2010年からは、マグナムの会長だそうだ。
ジョナス・ベンディクセン『SATELLITES』は、
マグナムのインターンとして、ロシアに飛んだベンディクセンのデビュー作。
下記は、写真集序文の一段落目。
I arrived in Russia in 1998, at the age of twenty. After two years of living and working there, I made a bureaucratic misstep and was deported. Unable to work within Russia proper, I spent much of the next five years traveling through the fringes of the former Soviet empire, exploring the oblique stories of half forgotten enclaves and restless territories.These places are quaintly obscure, but as I came to discover, they offer stark proof that the breakup of the Soviet Union is still a work in progress.
『SATELLITES』は、1991年にソビエト連邦が崩壊し、そのおよそ10年後、
ロシア滞在2年、そして彼が5年をかけて回った、ソ連の名残を収めたものである。
写された場所は、いずれもロシアとアジアの境目に位置する場所ばかりだ。
ユーラシア大陸の中央を、西から東まで横断している。
改めて挙げると、「アイソレイトされた地域」とはよく言ったものだと思う。
以下は写真集内の順番というよりも、地理的に並べてある。
西から東へ。
沿ドニエストル・モルドバ共和国(Transdniester)
国際的にはモルドバ共和国の一部とみなされており、主権国家として承認されていないが、現在、モルドバ共和国政府の実効統治は及んでおらず、事実上の独立状態にある。
by wikipedia
アブハジア(Abkhazia)
カフカースの一地域。グルジアはアブハジア自治共和国として自国に属すると主張しているが、事実上、アブハジア共和国として独立状態にある。その独立は国際的には認知されていなかったが、2008年8月26日にロシアが承認を発表した。
by wikipedia
ナゴルノ・カラバフ(Nagorno-Karabakh)
アゼルバイジャンの西部にある地域。アルメニア人が多く居住しており、隣国アルメニアとアゼルバイジャンの対立の火種となっている。「ナゴルノ・カラバフ」という呼称は、カラバフ地方の東部山岳地方に対してロシア語で「ナゴールヌィ・カラバフ」(Нагорный Карабах, 高地カラバフ)と名付けられたことが元になっており、現地のアルメニア語やアゼルバイジャン語には基づかない。
ソビエト連邦の時代はナゴルノ・カラバフ自治州が設置されており、ソ連崩壊後はアルメニアへの合流を求めてナゴルノ・カラバフ共和国(Լեռնային Ղարաբաղի Հանրապետություն, 独立側ではアルツァフ共和国〈Արցախի Հանրապետություն〉と自称している)として1992年1月6日に独立宣言し、ナゴルノ・カラバフ戦争となった。停戦後、ナゴルノ・カラバフ共和国は自治州時代の領域を越えてアルメニアと接するようになり、アゼルバイジャンの9%を実効支配するようになった。現在は事実上独立しているが、アブハジア、南オセチア、沿ドニエストル以外に独立を承認している国はない(自治州だった領域と現在の実効支配領域は一致していない)。
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フェルガナ(Fergana:The Ferghana Valley)
ウズベキスタン共和国東部の都市。フェルガナ州の州都。人口は214,000人。アラル海に注ぐシルダリア川の上流とカラテギン(フェルガナ)山地に挟まれたフェルガナ盆地の南端に位置する。 タジキスタン・キルギスの国境地帯に位置している。
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宇宙船 墜落地域(Speceship Crash Zones)
●バイコヌール(Baikonur)
バイコヌール(カザフ語: Байқоңыр、ロシア語: Байконур, Baikonur)は、カザフスタン共和国クズロルダ州にある都市。現在はロシア連邦が使用権を持ち管理している。
この都市の運命は、ソビエト/ロシアの宇宙計画やバイコヌール宇宙基地に影響されてきた。住民は基地の支持派と反対派に分かれ、悲劇の民と一部で呼ばれた。
バイコヌールはロシア連邦がカザフスタンより年間1億1500万USドルの契約で町全体を租借し、事実上の行政区として扱っている。これは、同市にある、ソ連時代の1955年に建設されたバイコヌール宇宙基地がロシアにとって今なお重要な宇宙開発施設であることに起因する。このためバイコヌールの行政権はロシアが握っており、例えば市長は、ロシア大統領が推薦し、カザフスタン大統領が承認することで任命される。また、ロシアの法律が適用され、通貨もカザフスタンのテンゲではなくロシアのルーブルが流通している。この租借契約は1994年に合意され、2050年まで続く見込みである。
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●アルタイ地方(Altai Krai)
アルタイ地方(Алтайский край; Altai Krai)はロシア連邦の中南部に位置する連邦構成主体の一つ。行政の中心はバルナウル。シベリア連邦管区に属する。ロシアの共和国のひとつであるアルタイ共和国は隣接するものの別の地である。
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ビロビジャン(Birobidzhan)
ロシア極東にあるユダヤ自治州の州都。 人口約8万人で、ハバロフスクの西方約150キロメートルに位置する。
日本においては新潟県新潟市(2005年に豊栄市を編入合併して姉妹関係を継承)の姉妹都市である。
by wikipedia
写真集は、地域ごとにまとめられている。
歴史的事実と、滞在時の出来事が簡潔に述べられた文章も添えられている。
それぞれのブロックで写されている季節は一つ。
そして冬と夏が交互に訪れる。
なぜだろうか。ユーラシア大陸を横断していると言うのに、
その距離性はほとんど感じられない。
どことなく、似ているのだ。
廃墟へと向かう場所で生活する人々の「絶望」が写っているのでもなく、
取り残された場所で生活する人々の「希望」が写っているのでもない。
あくまで、そこに生きる人々の「普通」の生活が写されている、のかもしれない。
ピュリッツァー賞を受賞するような、
世界に衝撃的な何かを伝えるのではなく、
ひっそりと佇む、「ここ」とは違う世界を彼の写真は伝えている。
彼の言葉を借りるなら、ジャーナリズムの孤児たちを。
そして、その写真はどことなく温かい。
ドラマチックだけどドラマチックすぎない。
リアルだけどリアルすぎない。
白飛びも、黒が潰れてもかまわない、
そんな写真の中に不思議な物語を感じさせる。
マグナムHPにも、写真集序文にも記載されている「the oblique stories」、
直訳すると、「斜めの物語」。
冒頭では、「意外な物語」と訳したが、どことなくしっくりこなかった。
この言い方は、英語圏では使われる言い回しなのだろうか。
僕には分からないけど、日本ではあまり聞かない気がする。
でも、いい言葉だ。
斜め上でも、斜め下でもなく、斜めの物語。
そんなナナメの物語を感じさせる彼の写真をいくつか。
いずれも『SATELLITES』に掲載されている写真。
歴史的事実と、滞在時の出来事が簡潔に述べられた文章も添えられている。
それぞれのブロックで写されている季節は一つ。
そして冬と夏が交互に訪れる。
なぜだろうか。ユーラシア大陸を横断していると言うのに、
その距離性はほとんど感じられない。
どことなく、似ているのだ。
廃墟へと向かう場所で生活する人々の「絶望」が写っているのでもなく、
取り残された場所で生活する人々の「希望」が写っているのでもない。
あくまで、そこに生きる人々の「普通」の生活が写されている、のかもしれない。
ピュリッツァー賞を受賞するような、
世界に衝撃的な何かを伝えるのではなく、
ひっそりと佇む、「ここ」とは違う世界を彼の写真は伝えている。
彼の言葉を借りるなら、ジャーナリズムの孤児たちを。
そして、その写真はどことなく温かい。
ドラマチックだけどドラマチックすぎない。
リアルだけどリアルすぎない。
白飛びも、黒が潰れてもかまわない、
そんな写真の中に不思議な物語を感じさせる。
マグナムHPにも、写真集序文にも記載されている「the oblique stories」、
直訳すると、「斜めの物語」。
冒頭では、「意外な物語」と訳したが、どことなくしっくりこなかった。
この言い方は、英語圏では使われる言い回しなのだろうか。
僕には分からないけど、日本ではあまり聞かない気がする。
でも、いい言葉だ。
斜め上でも、斜め下でもなく、斜めの物語。
そんなナナメの物語を感じさせる彼の写真をいくつか。
いずれも『SATELLITES』に掲載されている写真。
後輩
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